“遠州の小京都”森町を愉しむ、風景とグルメの散策プラン

静岡県西部の山間地にある森町は、由緒ある「小國神社」をはじめ、自然と歴史、そしてグルメが楽しめる観光スポットの一つです。今回は、天竜浜名湖鉄道とレンタサイクルを利用してめぐる、森町散策プランをご紹介します。なお、このコースは車で周ることも可能です。

森町はこんなところ

三方を小高い山に囲まれ、町の中央には清らかな太田川が流れ、風光明媚な森町。江戸時代には秋葉山(あきはさん)へ通じる秋葉街道の宿場町として賑わったといいます。大正12年に森町を訪れた地理学者・志賀重昂(しがしげたか)は、森町の山紫水明を見て「小京都」と称賛。以来、森町は「遠州の小京都」と呼ばれるようになりました。
「小國神社」をはじめ、森町には神社仏閣が多く、「あじさい寺(極楽寺)」や「ききょう寺(香勝寺)」、「はぎ寺(蓮華寺)」等、花の名で親しまれる花の名所も点在しています。また、「森の茶」と呼ばれる高級茶産地としても知られ、山間にはノスタルジックな立体茶園と静かな集落が広がります。

今回の森町を案内してくれたのは

今回は、森町観光協会の小野田泰一郎さん(写真右)に森町の観光スポットをご案内いただきました。また、「小國神社」では権禰宜の狩野圭祐さん(写真左)に「小國神社」をご案内いただき、お話を伺いました。

日本の原風景を見せてくれる天浜線で森町へ

この日は天気も良かったので、天竜浜名湖鉄道(通称:天浜線)の遠州森駅で下車し、駅のレンタサイクルを利用して森町をサイクリングしました。

まずは、JR掛川駅で天浜線に乗り換え、遠州森駅へ。天浜線には、全線に渡り36件に及ぶ国の登録有形文化財が存在しますが、中でも遠州森駅は昭和10年に建てられ、当時の駅舎がほとんどそのまま残っている貴重な建物となっています。

レトロな雰囲気の列車に乗ってみると、ノスタルジックな気分が味わえて、より旅気分が盛り上がります。

タイミングがよければ、『ゆるキャン△』×天浜線 ラッピング列車に出会えるかもしれません。「『ゆるキャン△』×天浜線 コラボ1日フリーきっぷ及び記念入場券セット」は掛川駅・天竜二俣駅・新所原駅で販売中です。(※2021年8月現在)

遠州森駅の駅員さんに声をかけると、レンタサイクルを借りることができます。サイクリングマップももらえるので、こちらを参考に回ってみるのもおすすめです。レンタル料金は普通自転車なら一律500円、電動アシスト付なら1,000円~2,000円(4時間未満)、1,500円~3,000円(4時間以上)で借りることができます。(※利用時間: 9:30〜15:30)

“古代の森”と呼ばれる荘厳な神社「小國神社」

「小國神社」の社記によると、555年に鎮斎(ちんさい。神おろしのこと)されたとあり、1460年余りの歴史を持つ神社です。ご祭神は、神話の「因幡(いなば)の白うさぎ」で知られ、一般には「大国様」と親しまれている「大国主命(おおくにぬしのみこと)」。天下泰平、国造りの守護神として、開運福徳・縁結びの神様として称えられています。御神域は「古代の森」と謳われており、その敷地面積は東京ドーム21個分の約35万坪にも及びます。春にはサクラ、初夏には花ショウブや青モミジ、秋には紅葉、初冬にはウメと、四季折々の景色も美しい場所です。

老杉が茂る参道は、「古代の森」の名にふさわしく荘厳な雰囲気が漂います。同時にたっぷりのマイナスイオンに包まれているような感覚になり、暑い夏の季節でも涼しい気持ちにさせてくれます。

「多くの神社は階段を上った先に社殿がありますが、『小國神社』は鳥居から社殿まで階段がなく、平坦な一直線になっているんですよ」と森町観光協会の小野田さんが教えてくれました。

参道横の手水舎は、コロナ対策のため柄杓(ひしゃく)を撤去し、流水で清める形になっています。

手水舎の先には、参道に沿って楕円形をした池があり、中央の島に宗像社(むなかたしゃ)が祭られています。これらの池は、願掛けをして“事のままに待ち”、願いが成就すると、池にコイを放ち神様に感謝の意を表す慣わしから、「事待池」と呼ばれています。コイのえさも販売されており、コイにえさをあげる参拝者も多いようです。池に近寄ると、えさをもらえると思ったコイ達が近くに寄ってきます。時折、甲羅干しをするかわいいカメも見ることができますよ。

森町には、明治42年に中村秀吉氏により創始された森山焼があります。事待池には、その森山焼の陶器片を使って装飾された「森山焼の橋」(写真左下)が架けられており、こちらも写真スポットとして人気です。

参道の脇に御神木「大杉」の根株が奉安されていました。昭和47年に日本列島に甚大な被害をもたらした台風によって倒れてしまい老木のため中は空洞ですが、残っている外側の年輪だけでも500年以上とのこと。隣にそびえる杉の木の太さと比べると、その年月の違いを実感できます。

さらに進むと、二の鳥居付近に「立ち上がり石」と呼ばれる石があります。この石は、徳川家康公が「小國神社」に武運を祈願しに訪れた際、この石に腰掛け休息したと伝えられています。参拝の度、幾多の悲境を乗り越え天下統一を果たしたことから「立ちあがり石」と言われ、人生の再起を願い、石に腰掛けていく人もいるそうです。

拝殿の右手前にあるのが舞殿と舞楽舎。ここでは、毎年4月18日に近い土曜、日曜にほぼ1日かけて、国の重要無形民俗文化財に指定されている「遠江森町の舞楽 小國神社十二段舞楽」が奉奏されるとのこと。機会があったらぜひ見てみたいですね。

ユネスコ無形文化遺産「伝統建築工匠の技 檜皮採取・檜皮葺」による“令和のお屋根替え”

そして、現在「小國神社」はユネスコ無形文化遺産に登録されている「伝統建築工匠の技 檜皮採取(ひわださいしゅ)・檜皮葺(ひわだぶき)」という、古来から伝わる日本唯一の伝統技術でもって、約50年ぶりとなる“令和のお屋根替え”を行なっている最中。その職人による伝統の技を紹介した展示スペースがあるので、ぜひのぞいてみてください。

檜皮葺とは、切り倒さずに生きているヒノキの木から樹皮を剥ぎ取り、それを屋根の上に幾重にも積み重ねていくことで、檜皮葺屋根が完成します。
今回は特別に許可を得て、職人さんの作業現場を撮影させてもらいました。作業の様子はYou Tubeでも公開されています。

左写真は拝殿の屋根で、まだ葺き替え前。よく見ると、荒れているのがわかります。右写真は拝殿右側にある神徳殿。こちらの屋根は葺き替えが完了しています。一般的に神社の屋根は銅板屋根が多いそうですが、熟練の葺氏により仕上げられた檜皮葺屋根は、美しい曲線美と雨風から神社を守る機能性を兼ね備えています。

「檜皮葺の屋根に比べ、銅板の方がコストも安いですが、建物内が暑くなってしまうんです。ちなみに小國神社の社務所等の屋根は銅板です」と小國神社の狩野さんが教えてくれました。

現在作業中の場所は、奥の御本殿。お祓いをしてもらい、中へと入らせていただきました。左上写真は足場の様子。通常、工事現場の足場は鉄パイプで組まれますが、神社の景観と調和する昔ながらの木製による手組みの足場が築かれています。

右上写真に映るのは、古い屋根から取り外した紋章部分で、その横にあるのが採取された檜皮です。この檜皮は、小國神社境内のものを中心に、近隣市町の神社や山からも協力を得て採取しています。境内のヒノキの木をよく見ると、樹皮がなくなり、つるんとした姿の木を見かけることができます。剥がれた樹皮は8〜10年ほどで再形成され、再び採取が可能となるそうです。高所に登り、原木を傷付けずにきれいに樹皮を剥ぎ取る技術は、後世に伝えていきたい重要な技術です。

「木は皮を剥ぎ、枝打ち(=枝を木から落とす作業のこと)をすることで、真っ直ぐに成長していきます。こうすることで、木材にすることができるんです。神社に植えられた木は、もともと木材として収入にするために植林されているんですよ」と話すのは小國神社の狩野さん。

左写真は、足場を上がらせてもらい、屋根の高さと同じ位置から撮影したもの。右写真は拝殿奥の幣殿の裏側の屋根です。拝殿の表側と異なり、こちらの屋根はコケが生え、飛んできた木の胞子により、なんと幼木が成長しています。

「木が生えてくると、その場所は雨漏りしてしまうんですよ。今まで職人さんが点検し、補修を重ねてきましたが、さすがに限界とのことで、今回、葺き替えることになりました」と小國神社の狩野さんが話してくれました。

屋根を上から見た写真と、横から見た写真。檜皮葺の美しさに目を奪われます。そしてその厚みにも驚きます。こんなにも幾層も檜皮を重ねているそうです。これら全てが機械ではなく、手作業で行われているといいます。まさに後世に受け継いでいきたい伝統の技術ですね。

小國神社東側の宮川では川遊びも可能

小國神社の東側をモミジ並木に沿って南北に流れる宮川は、水が冷たく川遊びをするにはもってこいの場所です。川遊びには、人の少ない上流がおすすめ。上流には赤い橋がかかり、夏には青モミジ、秋には紅葉したモミジとのコラボレーションも美しく、写真スポットとしても、おすすめの場所です。川遊びの際は、密を避け、マナーを守って遊びましょう。また、危険が伴うため自己責任で遊びましょう。

●遠江國一宮 小國神社
所在地:静岡県周智郡森町一宮3956-1
TEL:0548-63-2550
http://www.okunijinja.or.jp

「小國ことまち横丁」でグルメとお土産を楽しむ

「小國神社」の鳥居のすぐ左手にある「小國ことまち横丁」。お茶屋、グルメ店、カフェ、スイーツ店、お土産店などが軒を連ね、風情ある通りでショッピングが楽しめます。お休み処もあるので、ここで買ってきたお茶や食べ物をいただくことができますよ。常時換気がなされ、消毒の徹底等コロナ対策を万全に行っています。

甘くておいしいバナナジュースや色味がきれいなアレンジティー、写真映え抜群のかわいいデコレーションが施されたパフェやソフトクリーム、焼き立てのお団子、抹茶わらび餅、かき氷、森町産トウモロコシ(甘々娘)のピザ、森町産ハチミツのピザなど、どれも食べたくなってしまうような軽食・スイーツのお店も軒を連ねます。

森町でお茶屋として100余年の歴史を持つヤマチョウ(鈴木長十商店)では、テレビCMでお馴染みの「真っ赤な袋のお茶の詰め放題」の実演販売が行われており、遠州産の深蒸し茶を“ギュウギュウパンパンひっくり返しておまけのもう一杯!”の歌で観光客から注目を集めています。本当にぎゅうぎゅう詰めで入れてくれますよ。「お茶豆」もおすすめだそうです。休憩がてら立ち寄ってみてくださいね。

●小國ことまち横丁
所在地:静岡県周智郡森町一宮3956-1
TEL:0538-89-7010
営業時間:9:30~16:30(森の茶本舗は9:00~17:30)
定休日:なし
http://www.kotomachi.com

自然の美しさとマイナスイオン感じる穴場の滝「葛布の滝」

遠州森駅から約7km北上したところにある「葛布(かっぷ)の滝」。森町の文化財に指定されています。葛(くず)が生い茂り、これを葛布(くずふ)にしたことからこの名がついたそうです。かつては滝の水を利用した製氷が行われており、「葛布氷」の生産地として知られていました。滝の傍らには不動尊が祭られ、滝つぼには滝の主・赤牛が住んでいるという「赤牛と黒兵衛」という伝承が残されています。

葛布の滝
所在地:静岡県周智郡森町葛布
TEL:0538-85-6316(森町観光協会)
※川沿いを歩くため、滑りにくい長靴や歩きやすい服装での散策がおすすめ

森町の見どころをもっと知りたい方はこちらをチェック!
森町観光協会 https://www.mori-kanko.jp

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